予定納税とは?制度の概要とポイントをフリーランス向けに解説

こんな方におすすめ
そもそも予定納税とは何か知りたい方
予定納税の通知書が初めて届いた方
自分が予定納税の対象なのか知りたい方

個人事業主、フリーランスの所得税には「予定納税」という制度が存在します。予定納税の通知書が初めて届いたが、何をすればいいのか分からなかった、という経験はないでしょうか。例年の確定申告の流れに慣れている方にとっては、納税スケジュールが変わる点も気になるでしょう。

この記事では、所得税の予定納税について概要とポイントを紹介します。特に、前年度の確定申告→今年度の予定納税通知書の到着→期限内に予定納税分を納付、の流れを把握しましょう。

予定納税とは?

予定納税の制度概要について説明します。本来は確定申告の際にまとめて納付する所得税の一部を、前もって納付する仕組みです。フリーランス、個人事業主における対象者の基準と、納付方法も確認しましょう。

所得税を「前払い」するしくみ

予定納税とは、その年の所得税額の一部をあらかじめ納付する制度です。通常、年間の所得税は確定申告の際にまとめて納付しますが、この税負担を一時期に集中させないことを目的として設けられています。

予定納税額は前年の確定申告で支払った所得税額をもとに算定されます。その年の確定申告では、予定納税で支払った税額を差し引いて、納税額を算出します。つまり、予定納税の時点で年間の所得税額を超えていれば、確定申告では還付を受けることとなります。

フリーランスではこんな人が対象

フリーランス、個人事業主における予定納税は、基本的に前年度の所得税額が15万円以上だった人が対象となります。また、専業の個人事業主だけでなく、副業による事業所得が基準を満たした場合も対象になることがあります。

出典:国税庁「No.2040 予定納税

予定納税の対象者は、税務署が前年の確定申告の内容をもとに判定します。そのため、フリーランスや個人事業主の納税者が自ら予定納税の対象者である旨を申請する必要はありません。対象者には、納付額や納期限を記載した通知書が税務署から送付されます。

納付の時期と方法

予定納税は原則として第1期と第2期の2回に分けられています。納付方法は金融機関での振込や税務署窓口での納付に加えて、口座振替、ダイレクト納付、スマホアプリなどのキャッシュレス納付にも対応しています。

出典:国税庁「【税金の納付】

納期限を過ぎてしまうと追加で延滞税を課される場合があるため、通知書が届いたら期限を確認し、利用しやすい方法で余裕を持って納付を済ませましょう。

予定納税のスケジュールは?


予定納税の納付が完了するまでのスケジュールを紹介します。特に、前年度の確定申告を受けて予定納税の通知が届くまでの流れは、時系列で確認すると理解が深まります。

予定納税の年間スケジュール

【①】前年度分の確定申告で予定納税額が決定

予定納税額は、前年の確定申告で納付した所得税額に基づいて決定されます。逆に言うと、前年に確定申告をしていない(所得税を納めていない)のであれば、予定納税の対象からは外れます。

ここで注意したいポイントは、確定申告に関係するスケジュールが年をまたぐことです。確定申告は1〜12月の所得を申告する手続きですが、その期間は「翌年2月16日〜3月15日」です。つまり、ここでの「前年度の確定申告」とは、当年の2,3月に処理したものを指します。

確定申告について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

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予定納税の通知書は例年6月中旬ごろに到着します。そのため、確定申告からのスパンが約3〜4ヶ月と短く、資金繰りや手続きスケジュールの面で慌てる場合もあります。前年度の確定申告時点で、予定納税の有無を想定しておくとよいでしょう。

【②】税務署から通知書が到着

予定納税の対象者には、税務署から納付額や納期限を記載した通知書が送付されます。通知書は例年6月中旬頃までに発送されます。紙の通知書が届かない場合は、e-Tax(国税庁の納税システム)のメッセージボックスに通知が届いている場合もあるため、併せて確認してください。

通知が届いたら、記載内容に誤りがないか確認します。納付方法や支払時期の計画を立てて、納付へと進みます。

【③】期限内に納付

予定納税には、第1期、第2期それぞれに納付期限があります。

  • 第1期:7月1日から7月31日
  • 第2期:11月1日から11月31日

※期限最終日が土日祝の場合は、次の平日が納付期限になります。(例:7月31日が土曜日→8月2日の月曜日が期限)

e-Taxや口座振替などキャッシュレスで完結できる手軽な納付方法も検討しつつ、所定の手続きを行いましょう。納期限を過ぎると延滞税が課される場合があるため、期限直前まで待たず、余裕を持って納付を済ませることが大切です。

なお、口座振替の手続きには一定期間がかかります。お急ぎの場合は、窓口振込やスマホアプリで納付すると安心です。

予定納税で気をつけたいポイントは?

予定納税について、あらかじめ知っておきたいポイントを3つ紹介します。自分が対象者であるかを確認し、対象であれば納税資金を確保します。そのうえで、確定申告では追加納付が発生する可能性があることも認識しておきましょう。

対象となるかを事前に確認

予定納税の対象かどうかは、前年の確定申告で納付した所得税額を確認することで判断できます。前年度の所得税額が基準を超える見込みならば、予定納税の対象となる可能性があります。

通知書が届いてから慌てて対応を進めることがないように、対象の条件をあらかじめ把握し、納付時期を見据えた資金計画を立てておくと、家計や事業資金への影響を抑えながら対応しやすくなるでしょう。

納税資金を確保

予定納税の際はまとまった金額を納付することがあるため、資金を計画的に準備しておくことが大切です。特に、予定納税が初めてという方は、通常の確定申告時期とは異なる時期に一定の出費が発生する点に注意する必要があります。納付時期(7月末、11月末)を見据え、納税資金を別途積み立てておくなどの対応をとっておくと安心できます。

納税資金は生活費や事業資金と分けて管理しておくと、計画ミスによる資金不足を避けやすくなり、事務処理の負担も軽減できるでしょう。

当年の所得によっては追加納付が発生

予定納税は、前年度の所得税額をもとに、今年度の所得税を概算で納付する仕組みです。そのため、今年度の所得が前年度よりも増えた場合は、予定納税をした分に加えて、確定申告によって追加の納税が必要になることがあります。

一方、今年度の所得が前年度よりも減少した場合は、予定納税分が実際の所得税額よりも納め過ぎとなる可能性があり、還付を受けられるケースもあります。追加で納税する場合、還付を受ける場合のいずれであっても、最終的な税額は確定申告で精算されます。

予定納税についてフリーランスが直面しやすい疑問

予定納税に関してよく生じる疑問と回答を3つまとめました。国税庁の出典とあわせて確認してください。

年収いくらから予定納税の対象?

「年収○万円以上なら予定納税が必要」といった一律の基準はありません。一方で、国税庁によると「その年の5月15日現在において確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上となる方」が対象とされています。

出典:国税庁「No.2040 予定納税

基本的には、前年度の確定申告で15万円以上の納税をした方が、予定納税の対象となります。同じ年収であっても、売上や必要経費、各種所得控除の金額によって所得税額が変わります。そのため、年収ベースでは予定納税の有無を判断できません。自身が予定納税の対象であるかを確認したい場合は、前年度の確定申告で15万円以上を納付したか、を確認するとよいでしょう。

納税する金額はどこで確認できる?

予定納税で納める金額は、税務署から送付される通知書で確認できます。e-Taxを利用している場合は、メッセージボックスから納付額を確認することも可能です。また、前年の確定申告書に記載された所得税額を確認すれば、予定納税額のおおよその目安も把握できます。事前に金額を確認しておくことで、納税資金の準備も進めやすくなります。

支払いが難しい場合はどうすればいい?

予定納税の支払いが難しい場合は、一定の要件を満たせば予定納税額の減額申請が認められることがあります。前年度から収入が大きく減少した、などの理由で納税が困難になる見込みがある場合は、なるべく早く税務署へ相談しましょう。

出典:国税庁「A1-3 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続

第1期分・第2期分あわせての減額申請は7月15日、第2期分のみの減額申請は11月15日が期限です。何も手続きをしないまま予定納税の納付期限を過ぎると、延滞税などのペナルティが生じる可能性があります。資金繰りに不安があり減額申請を検討する方は、期限に間に合うよう速やかな書類手続きを進めましょう。

まとめ

予定納税は、前年の所得税額を基準に、その年の所得税の一部を前払いする制度です。対象者には税務署から通知書が届き、第1期・第2期の2回に分けて、それぞれ7月末と11月末までに納付します。

特に、予定納税が初めてという方にとっては、例年と異なる納税スケジュールになる点に注意する必要があります。6月中旬ごろに届く通知書だけでなく、前年度の確定申告における所得税の納税額(15万円以上)も、予定納税の対象の判断基準になります。

事業規模が大きくなると、納税額の増加も想定されます。予定納税は年間の税負担を各時期に均一化する目的もあるため、納税資金の確保やスケジュール管理も含めて、資金繰りを安定化させる手段として活用しましょう。