副業Webライター初めての確定申告!つまずきやすいポイントを解説

2025年4月15日

Webライターとして副業で一定の収入を得ると、確定申告の義務が発生します。副業を始めたばかりの方にとっては、確定申告は馴染みが薄い存在ではないでしょうか。そこで当記事では、副業Webライターとして初めての確定申告に挑戦した税理士法人勤務の私が、申告の基準やつまづきやすいポイントを紹介します。特に初心者の方には、確定申告で所得税を納めるだけでなく、還付金を受け取れる可能性がある点も知っていただけると幸いです。

副業Webライターと確定申告の関係

「そもそも確定申告の定義は?」「収入を申告するとどうなるの?」と疑問を持つ副業Webライターの方もいらっしゃるのではないでしょうか。導入として、確定申告の基礎知識や、Webライターと確定申告の関係について紹介します。

確定申告の意義

確定申告は、1年間の所得とそれにかかる税金を自分で計算し、申告と納税を行う手続きです。主に所得税の納付や還付が目的であり、会社員でも副業収入がある場合は確定申告の対象に当てはまる場合があります。

申告の期間は毎年【2月16日〜3月15日】と決まっているため、余裕をもった準備が大切です。(3月15日が土日祝のときは翌日の平日に繰り延べられます。)

副業Webライターの方にとって、確定申告は年1回の事務イベントといえます。

副業収入と確定申告

副業でWebライターの仕事をする方の報酬に対しては、所得税が発生します。本業の給与所得であれば、所得税の源泉徴収や納付の手続きは会社側に行ってもらえます。

一方の副業所得は、所得者本人が申告と納税の手続きを進めます。とくに、所得の課税対象金額や源泉徴収の有無など、いくつかの項目を自らチェックする必要があります。申告漏れのペナルティを避けるためにも、副業所得の詳細は念入りに確認しておきましょう。

副業WEBライターが確定申告すべき基準

副業のライター業務で得た年間の所得が20万円を超えると、確定申告の義務と所得税が発生します。ここでの「所得」とは、売上(報酬)から経費を差し引いた金額です。たとえば、年間収入が25万円であっても、経費が10万円であれば所得は15万円であり課税対象外です。(極端な例ですが…)

また、報酬額から源泉徴収分が差し引かれている場合、確定申告で【還付金】を受け取れる可能性があります。所得が20万円以下で申告義務を負わない場合でも、お金が戻ってくる機会があるためチェックしておきましょう。

副業Webライターの所得について

収入から経費を差し引いて算出する「所得」には、複数の種類があります。確定申告では、所得の区分に応じて課税方法や計算式が異なります。Webライターの所得は基本的に「雑所得」、事業規模が拡大すると「事業所得」と把握しておきましょう。

所得の種類は「雑所得」

所得は税法上、10種類に分類されています。副業WEBライターの収入は、「雑所得」に該当します。本業ではなく副業であり、個人の小規模な所得とみなされるためです。ただし、収入が大きく、継続性・独立性・事業規模などが明確であれば「事業所得」として扱われることもあります。

参考:国税庁「所得の区分のあらまし

雑所得と事業所得では税務上の扱いが異なるため、自分の働き方や収入の状況を踏まえたうえで申告の分類を判断しましょう。不明な点は税務署や税理士に相談することをおすすめします。

年間収入の計上方法

確定申告では、その年に得た「収入金額」を正しく計上することが大切です。クライアントから「支払調書」が届いている場合は、その内容を参考にするとスムーズです。
ただし、調書が発行されないこともあるので、口座に振り込まれた金額から確認する方法もあります。
私は今回の申告で、クライアントと共有する管理表データを利用しました。月ごとの報酬額を自ら確認して計算することで、申告ミスの防止にもつながります。

必要経費の具体例

副業WEBライターとして活動する中でかかった経費は、収入から差し引くことができます。例えば、カフェやコワーキングスペースの利用料、記事作成や学習に使った書籍代などが該当します。取材や打ち合わせ先までの交通費も忘れずに計上しましょう。

当然ですが、プライベートな支出は経費への計上が不可能です。”仕事に必要だったものかどうか”の基準を踏まえて、経費に含める範囲を決めましょう。領収書やレシートの保管用ファイルを用意すると効率的です。

ライターにおける源泉徴収

副業Webライターは報酬を受け取る際に、所得税を源泉徴収されるケースがあります。一見すると報酬額が減り、損をしたような感覚があるかもしれません。ただし、確定申告での所得額に応じて源泉徴収分の還付金を受け取れる可能性があります。

源泉徴収とは

源泉徴収は、会社員の方にとってなじみのある制度ではないでしょうか。給与を受け取る際、会社があらかじめ所得税を差し引き、代わりに税務署へ納める仕組みです。源泉徴収のおかげで、個人が毎月税金を納める手間が省けます。(企業は毎月、もしくは年2回で所得税を納税します。)

年末には「年末調整」を実施し、所得税の過不足を精算します。副業で確定申告を行う場合、副業WEBライターの収入にも、源泉徴収は関係します。

雑所得の原稿料では源泉徴収が発生

前述したとおり、Webライターの所得区分は雑所得に分類されます。なかでも、「原稿料」として扱うケースが一般的です。この原稿料は、クライアント側が源泉徴収を行うことがあります。つまり、副業WEBライター案件の報酬は、あらかじめ所得税が引かれた金額が入金されます。

参考:国税庁「雑所得

ただし、クラウドソーシング経由など低単価の単発案件では、源泉徴収がされないこともあります。源泉徴収の有無にかかわらず、受け取った報酬の内訳や入金額は確定申告に備えて確認することが大切です。

源泉徴収額は還付を受けられる可能性

原稿料にかかる源泉徴収の税率は【10.21%】です。一方で、累進課税方式の所得税率は、10.21%を下回るときがあります。つまり、年間所得の金額次第では、差し引き済みの源泉徴収税について還付を受けられる可能性があります。

参考:国税庁「居住者に対して支払う報酬・料金等」※資料の23ページをご覧ください。

特に、副業所得が課税対象外である【20万円以下】の場合でも、源泉徴収がされていると確定申告で還付金を受けられます。確定申告=税金を払うだけ…と思われがちですが、むしろ“戻ってくるお金”があるケースも多いので、ぜひ確認してみてください。

確定申告でつまづきやすいポイント

ここからは確定申告の実務について触れます。本業で給与を受け取りながら副業でWebライターに取り組む方は、本業の源泉徴収票を無くさないように気をつけましょう。また、年度の捉え方として、1月〜12月に”発生した”売上を計上する点も注意ポイントです。

本業の所得と副業の所得

本業と副業の所得は「分離課税」ではなく、すべて合算して課税される「総合課税」です。そのため、副業の確定申告をする際には、本業の給与所得も合わせて申告する必要があります。

本業の所得を入力する際に「源泉徴収票」があればスムーズに入力できます。年末に勤務先から貰える大切な書類なので、確定申告までは保管しておきましょう。私は令和6年度の申告時に源泉徴収票を無くしかけて慌てました…。少なくとも3ヶ月は手元に置いておくと安心でしょう。

収入の計上基準に注意

収入の計上方法には「発生主義」と「現金主義」があります。確定申告のとき、売上は基本的に発生主義で計上します。つまり、「報酬が確定した日=納品日や検収日」を基準として収入額を計算しましょう。入金日ベースで処理してしまうと、申告内容(令和○年1月〜12月)にズレが生じてしまいます。

一方、現金主義を選ぶと、実際に入金された日での計上が可能ですが、確定申告書にて「現金主義の特例」を受ける旨を明記する必要があります。ただし、対象者は【前々年の収入が300万円以下】の方に限られます。

参考:国税庁「現金主義による所得計算の特例を受けるための手続

e-Taxの利用推奨環境

確定申告をオンラインで完結できる「e-Tax」は便利なサービスですが、利用環境には制限があります。私はMacの少し古いOSを使っていたところ、e-Taxの推奨環境から外れており利用できず、結局スマートフォンから申告することになりました。パソコンから申告したい場合は、事前に国税庁サイトの【推奨環境】を確認しましょう。

また、e-Taxでの確定申告ではマイナポータルとの連携が発生します。本人確認の際にマイナンバーカードを何度か利用するため、PCとスマホを双方使う必要があるでしょう。

確定申告で慌てないための準備

確定申告の準備には時間と労力がかかります。特に、Webライターとしての申告が初めての方は、必要書類や各種計算の勝手が分からず戸惑うこともあるでしょう。ここでは、確定申告に向けた準備としておすすめの対策を解説します。私が税理士法人での実務で痛感する部分でもあるため、参考になるかと思います。

月次で収入や経費を管理する

確定申告の準備をスムーズにするには、1年分をまとめて処理するのではなく、月ごとに収入や経費を整理する意識づけが大切です。「経理の日」を毎月決めて、レシートや振込明細を準備しておくと、申告シーズンを迎えても慌てずに計算を進められます。月次で管理しておくことで、売上や経費の動きが把握できる点もメリットです。「どの月が好調だったか」「無駄な経費は発生していないか」など、副業WEBライターの経営状況も把握しやすくなります。

なお、経理の勉強をしたい方には簿記がおすすめです。簿記に関心をお持ちの方は以下の記事もご覧ください。

関連記事:【独学でも合格可能】簿記の資格で転職を成功させよう

入出金の口座を一元管理する

副業の収入や経費を管理するうえで、専用の銀行口座を用意して一元管理することをおすすめします。報酬の入金も必要経費の支払いも、同じ口座を活用することで、日々の取引と売上・経費をスムーズに確認できます。

事業用クレジットカードをお持ちの方は、引き落とし口座も固定しておくと経費管理が簡単です。また、会計ソフトを利用すると銀行口座の通帳写真やクレカの明細データ(CSVなど)を自動取り込みできます。

青色申告や特例の手続きは早めにする

青色申告者の登録をしたい方や、現金主義の特例を適用したい方は、事前の届け出が必要です。これらの届出期限は、確定申告の期限=3月15日と同日です。申告作業と並行して手続きをするのは大変なので、年明けごろには各手続きの準備を始めておくと安心です。

青色申告は節税メリットが大きい分、準備も少し手間がかかります。途中で方針を変えるのではなく、期中から見通しを立てておくとスムーズです。必要書類の確認も進めましょう。

おわりに

副業Webライターは、年間20万円以上の「所得」が発生したとき、確定申告の義務を負います。確定申告で所得税額が確定すると、申告の期日内に納税までを完了させる必要があります。申告や納税の漏れは、追徴課税のペナルティにつながるおそれがあるため気をつけましょう。

とくに、初めて確定申告をするWebライターの方は手続きに手間取ることも想定されます。税務署への相談や会計ソフトを駆使しながら、確定申告を乗り越えましょう!

Photo by Towfiqu barbhuiya(Unsplash)